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2012.09.04
「チャイナ・プライスは上がっていく」

 「チャイナ・プライスは上がっていく」といわれています。安い中国製品の時代は終わるといわれていて、中国の労働事情が変わっているということが理由であるようです。
 輸出の伸びを支えてきた出稼ぎ労働者が経済力を持ち始めたことで、中国が欧米諸国に安価な製品を大量に輸出する時代は終わったといわれています。英経済紙フィナンシャル・タイムズの元記者アレクサンドラ・ハーニー氏によると、かつては無尽蔵と思われていた広東省など中国南部への労働者の流入は今では減少しているということがあります。それに伴い賃金の上昇と、中国製のテレビや玩具、衣料品などの価格が上がってきていることがあります。

 以前は急成長する輸出部門で経済開放を始めた中国でしたが、それには、中国の安い労働力にあった、ということ貧困から脱出しようと仕事を求める人々が中国全土から流入し続けたことで労働コストが低い水準で維持されてきたことがありました。当時は約2億人の労働者が世界に向けて輸出製品を製造していたことになります。それでハーニー氏は「非常にパワフルな無名の人々」と関心を寄せていたといいます。
 中国政府の「一人っ子政策」が影響して、10代の若い求職者が減少すると必然的に賃金が上昇するということがありました。年収が2割ほど増加したケースもあるようですが、原材料の高騰が重なって、中国の製造業は危機的な状況に置かれたといいます。「ここ数年間の賃金上昇」「原材料価格の上昇」「労働者の権利意識の高まり」といった動きと人民元高が加わり、「中国の製造業は嵐の中にある」ということがいわれています。

 ハーニー氏は、力の均衡ということでは労働者側に傾いてきているということを言っています。数年前の労働力不足を経験した工場では、以前よりも労働環境がよくなってきていることに気がついた、といいます。5年前では労働者も余るほど手に入ると考えていたところが、最近では労働者を逃さないよう、やる気にさせるようにと気を配っているということです。
 また、労働者の権利意識ということでは、中国政府公認の労働組合に対抗するほどの運動は起きてはいないということですが、あらゆる業界での労働力の需要ということでは、出稼ぎ労働者の中には、1日18時間の労働のセーター工場から不動産販売業への転職を果たしたりと、大きなチャンスを手にしたという人もいるということです。そして労働者の集団が今後どのような選択をするかでは、安価な製品の時代の行く末まで決まると考えていいということがあるようです。

 現在、多くの工場が中国内陸部へ進出しているといいますが、アジア地域でも、競争国のベトナムでは、中国よりも安い労働コストを実現しているようで、今後はハイテク製品など、バリューチェーンの上流に移行する工場が注目されてくるかもしれない、ということです。


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