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2012.08.23
就職率の上昇にあまり意味はない

 文部科学省と厚生労働省の調査で、今年の大学卒業者の就職率が昨年よりも上昇し、4年ぶりに回復傾向にあったとの報告があり、ニュースになりました。大学側のハローワーククとの連携がこの上昇傾向を生み出したとの見解を示しているようですが、とてもそうは思えません。そもそも、今年がそれ以前の年と比べて就職率の上昇があるのは当たり前のことです。去年は、就職内定をもらった学生たちが軒並み取り消しとなる事態に陥りました。実際、去年の就職率は過去最低のものです。

 就職率の上昇は、東日本大震災で職がなくなったり、職場を追われた被災者の方々を積極的に採用した結果、上昇したのだと判断している見解は正しいと感じます。少なくとも、この上昇率を素直に喜ぶのはあまりにも早計です。そして、この就職率の上昇は現代社会が抱えている雇用問題を何も解決していません。
 就職率が上昇してもあまり意味がない原因については、厚生労働省が公開しているデータを見れば一目瞭然です。

 厚生労働省は、就職率とは別に離職率というものを統計的に算出しています。この離職率が向上されない限り、現代社会の根幹を揺らがせている問題は解決しません。
その離職率データの内訳は、中学生、高校生、大学生、で7:5:3です。つまり、就職した中学生は70%、高校生が50%、大学生が30%の割合で、なんらかの原因を抱え会社を退職していることになるのです。平成22年度における大学卒業生の1年目の離職率は13%を超えています。これは以前のデータと比べれば明らかなように、離職率の上昇傾向にまるで変化がありません。
 厚生労働省や外部機関などによるフリーターやニートに対する支援などは、そもそもやり方が間違えているとしかいいようがありません。大企業への就職が減り、中小企業への就職が増えたとはいえ、その中にしっかりとしたコンプライアンスがないのであれば若者はすぐに離職してしまいます。これでは本末転倒です。

 今年就職した若者たちが、このあと3年以上しっかり働ける雇用体制があるのか、それこそが本当に議論されるべきだと感じるのです。


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